2004年12月25日
担々麺放浪記──新宿三丁目「花彫酒家」

西洋音楽の美しい和声を理性的とするならアフリカ民俗音楽の激しいビートは本能的だ。理性的なものなら理性で抗えるが、本能的なものはそれが本能であるがゆえ抗いがたい。これまで紹介した2店の担々麺はどちらかというと上品で西洋音楽的で理性的な味だった。今回紹介する担々麺は本能に訴えかける担々麺。その味は抗いがたい魅力で1週間に1度は食べたくなる、そんな味だ。
新宿三丁目「花彫酒家」はアットホームな中華屋さん。厨房ではたまに怒号が飛び交うが(笑)、いざ接客となると中国人の店員さんは明るくとてもよく気が付く。気持ちよく食事できる店だ。
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場所はちょっと分かりにくい。新宿の伊勢丹本館を明治通りを挟んだ反対側、UFJ銀行横(ここに地下鉄「新宿三丁目」駅B2出口がある)の細い道を入る。ちょっと行くと「桜吹雪が風が舞う」という派手なラーメン屋が左手にあり、さらに行くと左手に地味な「桂花ラーメン」。その斜め前の洋食屋の2階。
担々麺はランチタイム(11:30~14:00)メニューのひとつ。夜は居酒屋で点心メニューで供される。
ここの担々麺は物凄いパワーがある。まず運ばれてきた瞬間ゴマの香りがガツンと鼻先を打つ。レンゲをスープに浸すと、ゴマペーストがとろり。一口飲むと辛味とゴマの香りと酢味が口の中で暴れる。圧倒的パワー。具はほうれん草、ひき肉炒め、干しえびも少々。ひき肉炒めがこれでもか!という勢いで入っているので、ややクドイきらいもないではない。が、それもパワーのうちなのだ。本能を直撃するアフロビートだ。この店で周りを観察すると担々麺の注文が驚くほど多い。老若男女問わずだ。それもひとりで来て黙々と食って帰っていくというスタイルが多いが気がする。まるで見えない何かに引き寄せられるかのように店に入り気づくと注文していた、そんな感じだ。人間は本能の魅力には抗いがたいのだ。
なおランチタイムだと+150円で半チャーハンをセットに出来る。ただ、半チャーハンにしては具沢山かつ量が多いので、担々麺にプラスするのはよほど腹が減ってない限りオススメしない。何しろ担々麺だけでもかなり腹いっぱいになる(小ライス付)。しかし、この半チャーハンは凄くおいしい。一日中胃がもたれる覚悟で食ってみるのもいいだろう。
「花彫酒家(はなほりしゅか)」
東京都新宿区新宿3-3-9 伍名館2F
03-3355-0210
定休日・日曜日祝日
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2004年12月24日
担々麺放浪記──鷺宮「らーめん一兆」

ラーメン屋の担々麺はおしなべて不味い。担々麺のポイントであるゴマ風味が無視されがちだ。つまり、普通の味噌やしょうゆのスープにラー油や豆板醤を加えて、具にひき肉炒めをのせてハイおしまいというところが多い。今回紹介するお店のように、美味い担々麺をだすラーメン屋は珍しいのである。
ということで店紹介2店目は鷺宮「らーめん一兆」まちのラーメン屋という風情のカウンターのみの店。
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場所は西武新宿線鷺宮駅北口を降りて、左手ケーキ屋さん横の斜めの道を入る。すぐ中杉通りにぶつかるので渡る。漫画喫茶の横の細い道を入って20m程先の右手。駅から徒歩1分程度。
ここの担々麺は、ゆず風味が効いている。ゆずで風味を出す担々麺は珍しいが、なかなかオツなものだ。スープはややあっさりめだが、ゴマ味濃く美味。具はチンゲン菜とネギ、ひき肉炒め。好みで辛さとゆず風味を調整できる。税抜き780円。ランチタイムに割引になるチャーシュー丼、半玉チャーシュー丼もおいしい。壁には担々麺の能書きがデカデカと書かれている。自慢の一品、ということなのだろう。
らーめん一兆
中野区 鷺宮4-2-3
03-5373-6788
定休日・年中無休
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2004年12月22日
担々麺放浪記──高田馬場「四川麻婆豆腐・華家」

前回、次回からオススメ店を紹介していきたいと書いてから大分間が開いてしまった。写真を載せて紹介したかったのだが、デジカメでわざわざ撮るのは恥ずかしいし面倒で延び延びになっていた。今回、携帯を機種変してそこそこ使えるカメラになったので、晴れて連載再会である。携帯だと、何気なく写真が撮れるのでこういう時には便利だ。
記念すべき店紹介1店目は、やはりこの店。高田馬場「四川麻婆豆腐・華家」
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場所はJR高田馬場駅を早稲田口で降りて早稲田通りをまっすぐ東へ進み、明治通りにぶつかったら右折。明治通りを50mほど新宿方向へ直進すると右手にある。
もうこの連載で何度もくどくどと書いたので、正直特に書くこともない。美味い担々麺の王道をいく味である。ただ、うえに水菜が乗っているのは珍しいかもしれない。具は他に挽肉いためとネギ。とろりとしたゴマとナッツのペーストがたっぷり入ったスープは、飲み干さずにはいられない。麺は細麺で、スープによく絡む。値段は850円。高級四川料理店なみの味なので、安いと言えるだろう。辛さを指定することも出来る。
また、麺類は+250円でミニ麻婆豆腐飯かミニそぼろご飯かミニ中華風混ぜご飯のセットに出来る。この店の麻婆豆腐も絶品なのでお腹が空いていればミニ麻婆豆腐飯にチャレンジするといいだろう。
この店には他に「麻婆焼麺」という麺モノがある。餡かけ焼きそばの餡が麻婆豆腐になったもので、これもウマイ! 値段は750円。
「四川麻婆豆腐・華家」
東京都新宿区高田馬場1-3-13
TEL:03-3202-8081
休みは不定期(営業日でもたまに貸切をやってるので確認するといいだろう)
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2004 12 22 [担々麺放浪記] | 固定リンク
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2004年10月26日
担々麺放浪記(3)
前回は高田馬場「四川麻婆豆腐華家」での担々麺との出会いが、その後の担々麺ライフを決定付けたと、まあ、そういうことを書いた。
その後、ネットを検索しまくり「So Tasty-担々麺」というサイトを発見する。このサイトは凄い!東京近郊を中心にピンからキリまで1000店以上もの担々麺を供する店に実際訪れて、詳細な評価を掲載してある。情報も日々集まってるので、担々麺好きにとって至宝のサイト。とりあえずここのガイドを基に、近辺の行きやすいところから巡ることにした。
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本場四川の担々麺は、汁なしの和え麺である。なんでも天秤に「担いで」売り歩いたので担々麺という名になったらしい。それを日本人に受けやすいように汁あり麺にアレンジしたのが、料理の鉄人陳健一の父、陳健民。ならば、ということで陳健一の店「四川飯店」池袋店(東武百貨店スパイス14F)へ行ったのは、担々麺生活1週間目あたり。ちなみに「So Tasty-担々麺」では堂々の5ツ星獲得店である。
オリジナルに相応しい美味さであった。なるほど高田馬場「華家」の味のルーツはここにあったのか、と思わせる深い味。あえて比べるなら四川飯店のほうがやや上品かな、という印象。その辺は個人の好みの範疇になってくるだろう。でも、僕は「華家」のほうが好きだな。5ツ星オリジナル担々麺に「華家」がぜんぜん負けてない・・・というか個人的にはむしろ好き、ってことのほうに驚いたかもしれない。
高田馬場「四川麻婆豆腐華家」おそるべし、である。ここまでしつこく書いていると店の回し者みたいで胡散臭さ爆発かもしれないが、ホントに美味いのだから仕方ない。だって美味いんだもん。
さて、先日、このブログをお読みいただいてる方に、担々麺の美味しさのポイントは何ですか?という質問を受けた。前にも述べたように、自炊を放棄しているので、食材について細かいことは分からない。なもんで、単純に美味い、不味いとしか言葉に出来ない困った料理オンチである。ただ、僕が食べ歩いて「美味い!」と思ったところは、どこもゴマ味ナッツ味が非常に濃厚だった。やはり、ポイントはゴマ(とナッツ)の甘みと言えるかもしれない。それプラス、他の辛味と酢味とのバランスだろうか。
不味いのでよくあるパターンは、ラーメン屋で出されがちな、フツーの醤油味、ミソ味等のラーメンに、ラー油や豆板醤で辛味を足しただけでゴマ味全くないもの。挽肉炒めに味が付いて、スープに溶かし込むと美味いパターンもあるが(野方ホープがこのパターンだった)オリジナルの担々麺からはちょっと外れる。
可もなく不可もない、のは、ゴマ味は利いているけど、スープはさらさらで、パンチが足りないもの。中華料理屋系ではよく出てくる。この場合辛味が勝ちすぎる。味の複雑さが足りなくて今一歩である。
美味い担々麺のスープは、レンゲですくうと、ゴマ(とナッツ)のペーストでとろっとした感触がする。とろみがつくほど入っていないと、辛味に対抗できない。これだけだとクドイので、酢の酸味があると俄然バランスが良くなる。要はこの、辛味、甘み、酸味のバランスなのだが、そのためには、ゴマ(とナッツ)がかなり重要。やりすぎな程入っているくらいがちょうど良い。
僕が思う担々麺美味さのポイントは、そんな感じ。あ、麺は細麺のほうが好きだな。具は、挽肉と刻みねぎと、アクセントに青菜系野菜があればいいと思う。次回からはオススメ店を紹介していきたい。
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2004 10 26 [担々麺放浪記] | 固定リンク
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2004年10月18日
担々麺放浪記(2)
前回は、担々麺が発作的に食いたくなったときに、途方もなく不味い担々麺を食ったが故、担々麺飢餓道に堕ちて毎日うまい担々麺を求め彷徨うことになったと書いた。
担々麺ジャンカーとしての転機は、はや二日目に訪れた。衝撃的に不味い担々麺を食った翌日である。その日僕は奇跡的に美味い担々麺を恍惚の表情で貪り食うことになったのである。
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その担々麺との出会いを記す前に、僕の食生活について説明せねばならない。
一人暮らしで自炊を完全に放棄している僕は、昼夜外食がほとんどだ。
ところが職場である東新宿から最寄り駅の西武新宿駅までは、あの悪名高き歌舞伎町があるだけで、甚だ「安く飯を食う」という用途には向かない街である。ぼーっと歩いていると露骨に下半身方面に訴えかける呼び込みやら看板やらで頭が麻痺するので、うっかりすると食欲より別の欲が出てきそうになる。したがって歌舞伎町の中は通らずに、歌舞伎町の北端に当たる職安通りをいつも通っているが、ここは大久保に近いせいか、ハングル文字が躍り、ホルモン焼きと焼肉屋しか見当たらない通りである。
勢い夜の食事は、吉牛、松屋、マクドなどのファストフード系で済ませることが多かった。あるときなど、気づいたら1週間連続くらいで「めしや丼」の「味噌カツ煮定食」を食っていた。
非常に危機感を感じたのである。このままでは、廃人まっしぐらである。
それで最近、僕は帰りのルートを変えてみることにした(自炊方向へ考えが及ばないのが僕のダメなところだ)。西武新宿駅ではなく、高田馬場駅まで歩くことにした。東新宿からは徒歩30分くらいで、日ごろ運動不足の僕にはちょうどいい。何よりこちらは学生街で、安く美味いものが食えるところが山ほどある。
そんなワケでその日の夜も、僕は明治通りを東新宿からてくてく歩いて北上していた。
しばらく歩くと、早稲田通りにぶつかる50m程手前に、ラーメン屋、飲み屋、カレー屋などが並んだ一角があり、そこに「四川麻婆豆腐華家」という中華料理屋がある。表に立てかけられた黒板に「担々麺」の文字が書かれてるのを発見した。それでも一旦は通り過ぎかけたが、またふらふらとその「担々麺」の文字に吸い寄せれるように足が向いた。それまで1度も入ったことのない店だったが、前日に不味い担々麺を食べたリベンジを果たすべく、僕はもう1度賭けに出た。
そしてついに僕は賭けに勝った。
とにかくもうワケも分からず美味かった。去年の冬にそれなりに美味いと思って食っていた「野方ホープ」の担々麺が、まるでお話にならないくらいに霞んでしまった。
昨日のテルミン練習日記でも触れたが、唐辛子の辛味、酸味、ゴマとナッツペーストの甘味、アクセントの三つ葉の苦味。それらが絶妙なバランスで複雑な味のハーモニーを奏でている。こんなに美味い麺モノが果たしてあっていいのだろうか、と本気で感激した。
無我夢中のまま汁を最後まで飲み干した瞬間、僕の担々麺放浪生活の本格的なスタートが始まった。
恐るべし担々麺。この素晴らしき味の世界をもっと堪能したい!
「担々麺が食べたい!」から「美味い担々麺が食べたい!」に変わった瞬間である。
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2004 10 18 [担々麺放浪記] | 固定リンク
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