« シッポナールの可能性 | メイン | テルミン大学2回目 »
2005年02月12日
東京・首都圏未来地図―街が変わる暮らしが変わる
東京・首都圏未来地図―街が変わる暮らしが変わる
成美堂出版編集部
by G-Tools
今後の大規模再開発プロジェクトの紹介を中心に、東京の過去・現在・未来を俯瞰的に捉えることが出来るムック本。
たとえば、六本木の航空写真を年代ごとに並べてある。戦後すぐの焼け野原だったころのものから、ごちゃごちゃとした建物が立ち並ぶ1989年の写真。ヒルズが完成したあとの2004年、最後に防衛庁跡の再開発「東京ミッドタウンプロジェクト」などのイラストを2004年の写真に合成した2010年。男性に多いと思うが、ぼくも基本的に「地図好き」「航空写真好き」なので、こういうのを眺めるのは楽しい。(航空写真好きなヒトは→【DECORE】東京空間遊歩人や国土情報ウェブマッピングシステム(試作版)などのサイトがオススメ。平気で3時間くらい時間が潰れると思われる)
航空写真は他にお台場などの臨海エリアとなぜか後楽園周辺が紹介されている。この本が楽しいのはここまでで、あとは今後の再開発プロジェクトの紹介がメイン。デジタルライフを愛し、日ごろ都市派を自認する僕ではあるが、どのページを見てもビルビルビルで頭が痛くなってきた。ガラスと鉄筋コンクリートで平面と立方体を強調したデザインのビルは、機能的という意味で美しくはあるが、あまりに並びすぎると無機質で面白くない。
働き、かつ遊ぶ場所として、こういうデカくてキレイなビルを中心にした複合施設は悪くないと思う。都市は人が猛烈に移動する空間だ。しかし何千万何百万という人を飲み込むには東京は狭い。上に伸びるのは当然の帰依。また現在の再開発事業はビルをおっ建てて上に伸びることで、余ったスペースを緑地化し広場などにする。潤いがある総合的な街づくりを目指す。悪くない。
ただ、住む場所としてのビルというのはどうだろう。ぼくの勤める会社の社長は税金対策のためタワー型マンションを事務所兼自宅として借りている。32階だか34階だか、相当高いところに住んでいる。聞くところによると、物凄く普通じゃないトコロで不便を感じるらしい。なんと30数階の窓から外を眺めるだけじゃ、雨が降ってるかどうか分かりにくいそうだ。ふだん我々は、土に跳ね返る雨の音や、濡れる木々や地面を見て雨が降っていると感じているのである。高いビルから鈍色の空を眺めてもそれが分からない。したがって1階のロビーには住人用の貸し傘が置いてあるらしい。金持ちのステータスとして以外の利点はどうもなさそうだ。
こう考えるのもぼくが練馬の築25年の安アパートに住まい、毎日西武線の電車の音に起こされる生活をしている嫉妬なのだろうか。たぶんそれも大いにあるが、人が寝たり風呂に入ったりと生活する場は潤いがある場であるべきだ。雨が降ってることすら分からない場所に潤いがあると感じられるほど、僕も都市化されてはいない。練馬のアパートは雨の日に窓を開ければすぐ目の前の木々がしとどに濡れているのが分かるし、雨が染みた土のにおいが鼻腔をくすぐる。ラピュタではないが「人は大地から離れては生きてはいけない」と、そう思う。
話を本に戻そう。
この本の白眉はもうひとつあって、それは東京駅の再生だ。
東京駅の赤レンガの建物は今でも美しいと思うが、実は戦災で2階から上が焼失したのでテキトーに屋根を付けただけのものだ。大正3年に完成したときには3階建てで丸の内の南口と北口に当たる八角形の部分には美しいドーム型の屋根がのっていた。で、その完成当時の東京駅を復元するらしい。また駅前広場も拡張し、行幸通りの中央には並木の歩道が貫く。東京の表玄関としてふさわしい、非常に美しい場所に生まれ変わるようだ。
余談だが、行幸通りを皇居に向かって直進しお堀を渡った右手に「和田倉噴水公園」という隠れスポットが存在する。平成7年の皇太子ご成婚を機に再整備されたこの噴水公園は、夜になるとライトアップされちょっと他で見れらないほど感動的な場所になる。ぼくは築地に勤めていた頃、一時期ほぼ毎日会社帰りに銀座有楽町を経由してここまで歩いていった。水の音と光の織り成す幻想的な空間はまさに都市の生んだ潤いのオアシス。人もそれほどいないので、ここで数十分間ぼーっとすると、心がカラになるのだ。
これからの東京は総合的に「職」「遊」「住」のバランスを考えた都市づくりにシフトしていくのだろうと思う。この本のビルの洪水に呑まれて多少マイナス面を強調してしまったが、ぼくはこの街が好きだ。あえて言おう。東京の未来は明るい、と。
2005 02 12 [雑文・ブックレビュー] | 編集









コメント
ときわさま
常々考えております、東京生まれの東京育ちのワタクシ。
東京には二つの顔があると。
ひとつはそこに住む人々にとっての生活の場所。
もうひとつは「現象」としての東京。
時々、その「現象」に飲み込まれそうになって息苦しさなどを感じることもありますが、「和田倉噴水公園」のように色々隠れスポットや、まだ昭和の香り、江戸の匂いのする町等も点在しているので、やっぱり東京は好きです。
「人間は大地から離れて生きてはいけない」本当にそう思います。
「東京には空がない」と言ったチエコさん(漢字忘れちゃった)、「東京には東京の空があるのです」と言いたいです。勿論チエコさんの気持ちは十分に判るのですが、東京で育った人間には東京の空があるのです。
でないと悲しい。
東京ネタは記事にしようと思っていたので、いつかTBさせて頂きますね。いつか判らないけど。
投稿者 マキ : 2005年02月13日 05:58
いや、でもほんのちょっと住みたいのですけどね。高層マンション。高いところ好きだし。
しっかし高層マンションは老朽化してきたときに怖そうです。
たとえば
http://www.mansion.co.jp/contents/move/korei-bn1.htm
このページの下のほうに老朽化し管理体制が崩壊した渋谷のマンションの例が紹介されてるのですが。マンションの屋上の排気ファンが故障したため、住人が勝手に廊下に縦横無尽に排気ダクトを這わせてます。サイトには写真が掲載されてます。
これはこれでかつての香港クーロン城のような感じで、ある意味カッコいいですが(○○人民公司とかの漢字張り紙をたくさん貼り付けたい)、さすがに住みたくはないなぁ。
大規模再開発の裏側で、取り残された東京の風景もなかなか詫び寂があっていいですな。山手線の内側だと、神楽坂周辺の路地と坂の佇まいとか。あーゆーのはいつまでも残っているといいな、と思います。
ただ、そのあたりの詫び寂東京は、いずれくるだろう東京直下型大地震ですべて崩壊し浄化しそうな雰囲気はあります。滅び行く美学。そのへんも含めて、惹かれるのでありますが。
投稿者 ときわ : 2005年02月13日 15:07
ときわさん
ワタクシ、高層マンションは怖くて住めません。
だって、すこし高所恐怖症なのです。
投稿者 マキ : 2005年02月14日 09:30
子供の頃からデパートの屋上が大好きでした。
それにしてもスペインの高層ビル火災を見ていて、あー、こえ~!と思いました。やっぱはしご車が届く範囲じゃないと住みたくない!
投稿者 ときわ : 2005年02月15日 01:25
ワタシもデパートの屋上は好きです。
でもその理由は多分ノスタルジックなもので、高いところだからではないです。
デパートの屋上では学生時代に友人とよく昼寝していました。(今思い出すと、かなり熟睡していたので恥ずかしいです)
今のところ、八階までは住めそうです。
(友人宅がマンションの八階にあって、そこではあまり恐怖心を感じませんでした。だけど13階の知人のお宅はNGでした)
投稿者 マキ : 2005年02月16日 06:51
そーいえばデパートの屋上なんてここ10年くらい行ってないかも。春になったら行ってみよう。そして、ソフトクリームを食べよう。
8階と13階のボーダーって何なのかがひじょーに気になります。どちらも堕ちれば即アウトだと思うんで(9階からダイビングして助かった芸能人もいますけど・・)見える景色の違いなんですかねぇ。8階だと視線の高さにまだ建物が結構ありそうですが、13階だとあんまりなさそうですね。
見えるものがことごとく眼下にあると、確かに足が地に付かない不安を感じます。そういった不安感を含めて僕は好きなんですが、高いトコ。
投稿者 ときわ : 2005年02月16日 12:17
デパートの屋上でのソフトクリームって最高ですね!
ワタシも今度真似しようっと。
8階と13階のボーダーラインは多分、8階のマンションは両隣もマンションで、下があまり見えなかったから。
13階は周りがよ〜く見通せて恐怖感がじわじわと。
ですから多分8階でも周りに何も無かったら怖いと思う。
5階はクリアしました。何故なら勤務場所が5階だからです。
だけど屋上は大好きなんですよね〜。
矛盾してますけれど、それはきっと空に近いから&端っこに行かなければ安全な気がするからです。
投稿者 マキ : 2005年02月17日 11:39
屋上は、ほかにもっと高い建物が無い限り見上げれば空だけ見えますからねー。
10階以上でも広めのルーフバルコニーがあれば、空だけ見れて落ち着けるかもしれませんね。端に行かなければ。
この前友人の友人のマンションへ訪問したとき、11階のルーフバルコニーで大興奮しました。僕の場合、端っこから下界を眺め「見ろ!人がゴミのようだ!」と、ラピュタのムスカ大尉ごっこですが。
投稿者 ときわ : 2005年02月18日 01:19
人が小人のように見えるところにいったら、もう鳥肌がたち、体がスースーしてきます。
投稿者 マキ : 2005年02月18日 06:53