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2004年10月18日

担々麺放浪記(2)

前回は、担々麺が発作的に食いたくなったときに、途方もなく不味い担々麺を食ったが故、担々麺飢餓道に堕ちて毎日うまい担々麺を求め彷徨うことになったと書いた。

担々麺ジャンカーとしての転機は、はや二日目に訪れた。衝撃的に不味い担々麺を食った翌日である。その日僕は奇跡的に美味い担々麺を恍惚の表情で貪り食うことになったのである。

その担々麺との出会いを記す前に、僕の食生活について説明せねばならない。
一人暮らしで自炊を完全に放棄している僕は、昼夜外食がほとんどだ。

ところが職場である東新宿から最寄り駅の西武新宿駅までは、あの悪名高き歌舞伎町があるだけで、甚だ「安く飯を食う」という用途には向かない街である。ぼーっと歩いていると露骨に下半身方面に訴えかける呼び込みやら看板やらで頭が麻痺するので、うっかりすると食欲より別の欲が出てきそうになる。したがって歌舞伎町の中は通らずに、歌舞伎町の北端に当たる職安通りをいつも通っているが、ここは大久保に近いせいか、ハングル文字が躍り、ホルモン焼きと焼肉屋しか見当たらない通りである。

勢い夜の食事は、吉牛、松屋、マクドなどのファストフード系で済ませることが多かった。あるときなど、気づいたら1週間連続くらいで「めしや丼」の「味噌カツ煮定食」を食っていた。

非常に危機感を感じたのである。このままでは、廃人まっしぐらである。

それで最近、僕は帰りのルートを変えてみることにした(自炊方向へ考えが及ばないのが僕のダメなところだ)。西武新宿駅ではなく、高田馬場駅まで歩くことにした。東新宿からは徒歩30分くらいで、日ごろ運動不足の僕にはちょうどいい。何よりこちらは学生街で、安く美味いものが食えるところが山ほどある。

そんなワケでその日の夜も、僕は明治通りを東新宿からてくてく歩いて北上していた。

しばらく歩くと、早稲田通りにぶつかる50m程手前に、ラーメン屋、飲み屋、カレー屋などが並んだ一角があり、そこに「四川麻婆豆腐華家」という中華料理屋がある。表に立てかけられた黒板に「担々麺」の文字が書かれてるのを発見した。それでも一旦は通り過ぎかけたが、またふらふらとその「担々麺」の文字に吸い寄せれるように足が向いた。それまで1度も入ったことのない店だったが、前日に不味い担々麺を食べたリベンジを果たすべく、僕はもう1度賭けに出た。

そしてついに僕は賭けに勝った。

とにかくもうワケも分からず美味かった。去年の冬にそれなりに美味いと思って食っていた「野方ホープ」の担々麺が、まるでお話にならないくらいに霞んでしまった。
昨日のテルミン練習日記でも触れたが、唐辛子の辛味、酸味、ゴマとナッツペーストの甘味、アクセントの三つ葉の苦味。それらが絶妙なバランスで複雑な味のハーモニーを奏でている。こんなに美味い麺モノが果たしてあっていいのだろうか、と本気で感激した。

無我夢中のまま汁を最後まで飲み干した瞬間、僕の担々麺放浪生活の本格的なスタートが始まった。

恐るべし担々麺。この素晴らしき味の世界をもっと堪能したい!
「担々麺が食べたい!」から「美味い担々麺が食べたい!」に変わった瞬間である。

2004 10 18 [担々麺放浪記] | 編集

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