2005年04月04日
ブックレビュー「ダヴィンチ・コード」
ベストセラーを読むのは恥ずかしい。
セカチューはさすがに敬遠したが、この「ダヴィンチ・コード」、フジと日テレの特番攻撃に轟沈してしまった。我ながらまんまとブームに乗せられてしまったと思う。
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内容は、フツーに面白い。
面白いんだけどアザとい。乗ったら最後、窮地につぐ窮地。ジェットコースターストーリー。なんだろうなー。シドニーシェルダンをうんちくで固めた感じだろうか。読んでいる最中は面白いけど、読み終わったら何も残らないタイプの面白さ。別に否定するってのではなく、娯楽小説として十分アリだと思う。
謎解きと言うか、暗号というか、そういうものがあるんだが、冒頭のダイイングメッセージより、その被害者本人が生前に残した、もっとも大切な暗号のほうがカンタンなのには笑ってしまう。たぶん読者サービスなんだろう。暗号を解けずに四苦八苦するインテリ主人公を尻目に、暗号を解いてしまう読者。ああ、おれって頭いいじゃん。なんかすごくね?そんな感じ。
うんちく部分は面白かった。
うんちくをいかに面白く読ませるか、ということに主眼をおいたとすると、この構成は成功だと思う。
ヨーロッパってのは、芸術にしても建築にしてもキリスト教が徹底して支配してるんだなぁ、と思う。ダヴィンチコードが話題になるのも、そもそもこの話がなりたつのも、そういったキリスト教的土台がかかせない。ヤオヨロズの神的な柔軟な宗教観をもつ日本人には理解しがたい世界だが、壮麗な寺院や、神々しい絵画を見ると、ああ、神様ってのはスゴイなぁ、と単純に思う。
ローマ法王さんが亡くなった。
次の法王の選出方法は、教皇の次に偉い人たち、枢機卿(この漢字カッコいいと思う。)での選挙で決まるらしい。誰が良いか投票して、最終的に3分の2以上の票がひとりに集まるまで、繰り返し行うそうだ。その選挙を「コンクラーベ」と言う。まさに根競べな選挙だ。
また難しい時期に行うものだ。
こないだ行ったヒルズのイベント「戦争を語る」で軍事評論家の岡部いさく氏が言った。
「世界が平和でありますように」
世界は皮肉に満ちている。
ダ・ヴィンチ・コード (上)
ダン・ブラウン 越前 敏弥

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ダ・ヴィンチ・コード (下)
ダン・ブラウン 越前 敏弥

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2005 04 04 [雑文・ブックレビュー] | 固定リンク
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2005年02月12日
東京・首都圏未来地図―街が変わる暮らしが変わる
東京・首都圏未来地図―街が変わる暮らしが変わる
成美堂出版編集部

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今後の大規模再開発プロジェクトの紹介を中心に、東京の過去・現在・未来を俯瞰的に捉えることが出来るムック本。
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たとえば、六本木の航空写真を年代ごとに並べてある。戦後すぐの焼け野原だったころのものから、ごちゃごちゃとした建物が立ち並ぶ1989年の写真。ヒルズが完成したあとの2004年、最後に防衛庁跡の再開発「東京ミッドタウンプロジェクト」などのイラストを2004年の写真に合成した2010年。男性に多いと思うが、ぼくも基本的に「地図好き」「航空写真好き」なので、こういうのを眺めるのは楽しい。(航空写真好きなヒトは→【DECORE】東京空間遊歩人や国土情報ウェブマッピングシステム(試作版)などのサイトがオススメ。平気で3時間くらい時間が潰れると思われる)
航空写真は他にお台場などの臨海エリアとなぜか後楽園周辺が紹介されている。この本が楽しいのはここまでで、あとは今後の再開発プロジェクトの紹介がメイン。デジタルライフを愛し、日ごろ都市派を自認する僕ではあるが、どのページを見てもビルビルビルで頭が痛くなってきた。ガラスと鉄筋コンクリートで平面と立方体を強調したデザインのビルは、機能的という意味で美しくはあるが、あまりに並びすぎると無機質で面白くない。
働き、かつ遊ぶ場所として、こういうデカくてキレイなビルを中心にした複合施設は悪くないと思う。都市は人が猛烈に移動する空間だ。しかし何千万何百万という人を飲み込むには東京は狭い。上に伸びるのは当然の帰依。また現在の再開発事業はビルをおっ建てて上に伸びることで、余ったスペースを緑地化し広場などにする。潤いがある総合的な街づくりを目指す。悪くない。
ただ、住む場所としてのビルというのはどうだろう。ぼくの勤める会社の社長は税金対策のためタワー型マンションを事務所兼自宅として借りている。32階だか34階だか、相当高いところに住んでいる。聞くところによると、物凄く普通じゃないトコロで不便を感じるらしい。なんと30数階の窓から外を眺めるだけじゃ、雨が降ってるかどうか分かりにくいそうだ。ふだん我々は、土に跳ね返る雨の音や、濡れる木々や地面を見て雨が降っていると感じているのである。高いビルから鈍色の空を眺めてもそれが分からない。したがって1階のロビーには住人用の貸し傘が置いてあるらしい。金持ちのステータスとして以外の利点はどうもなさそうだ。
こう考えるのもぼくが練馬の築25年の安アパートに住まい、毎日西武線の電車の音に起こされる生活をしている嫉妬なのだろうか。たぶんそれも大いにあるが、人が寝たり風呂に入ったりと生活する場は潤いがある場であるべきだ。雨が降ってることすら分からない場所に潤いがあると感じられるほど、僕も都市化されてはいない。練馬のアパートは雨の日に窓を開ければすぐ目の前の木々がしとどに濡れているのが分かるし、雨が染みた土のにおいが鼻腔をくすぐる。ラピュタではないが「人は大地から離れては生きてはいけない」と、そう思う。
話を本に戻そう。
この本の白眉はもうひとつあって、それは東京駅の再生だ。
東京駅の赤レンガの建物は今でも美しいと思うが、実は戦災で2階から上が焼失したのでテキトーに屋根を付けただけのものだ。大正3年に完成したときには3階建てで丸の内の南口と北口に当たる八角形の部分には美しいドーム型の屋根がのっていた。で、その完成当時の東京駅を復元するらしい。また駅前広場も拡張し、行幸通りの中央には並木の歩道が貫く。東京の表玄関としてふさわしい、非常に美しい場所に生まれ変わるようだ。
余談だが、行幸通りを皇居に向かって直進しお堀を渡った右手に「和田倉噴水公園」という隠れスポットが存在する。平成7年の皇太子ご成婚を機に再整備されたこの噴水公園は、夜になるとライトアップされちょっと他で見れらないほど感動的な場所になる。ぼくは築地に勤めていた頃、一時期ほぼ毎日会社帰りに銀座有楽町を経由してここまで歩いていった。水の音と光の織り成す幻想的な空間はまさに都市の生んだ潤いのオアシス。人もそれほどいないので、ここで数十分間ぼーっとすると、心がカラになるのだ。
これからの東京は総合的に「職」「遊」「住」のバランスを考えた都市づくりにシフトしていくのだろうと思う。この本のビルの洪水に呑まれて多少マイナス面を強調してしまったが、ぼくはこの街が好きだ。あえて言おう。東京の未来は明るい、と。
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2005 02 12 [雑文・ブックレビュー] | 固定リンク
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2004年12月14日
ブックレビュー──終戦のローレライ
もはやこのブログのテーマが分からなくなってきたが、とりあえず思いついたことは何でも書く方向でしばらく行きたい。
ということでブックレビュー。
「終戦のローレライ 上・下」(福井晴敏)(講談社)
第二次世界大戦末期に、ドイツの秘密兵器「ローレライ」を搭載した戦利潜水艦「伊五〇七」をめぐるやたら長い物語。
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作者の福井晴敏は、絶対にヲタクだ!一見硬そうな小説を書く一方、ガンダムのノベライズをうっかり書いてしまうほどだから、間違いない。「亡国のイージス」では、劇場版パトレイバー2のスクランブル発進シーンなどをパクリ、一部のヲタクを鼻白ませたが、アニメを知らないウブな読者には痛く歓迎され、瞬く間にベストセラー作家の仲間入りとなった。
この「終戦のローレライ」でも、作者のヲタク性は遺憾なく発揮されている。
潜水艦モノということで、やはり「沈黙の艦隊」は相当意識したに違いない。潜水艦一隻で、アメリカ軍の艦隊を面白いほど手玉に取るという図式といい、意表をつく戦法といい、そのまんまである。
またストーリーの核となる、ドイツの秘密兵器「ローレライ」。ネタバレになるから詳しく書けないんだけど、この設定がいかにもアニメ的。ていうかエ●ンゲリ●ンを巧いことアレンジしただけ。
といって「パクリはいかん」と言うつもりは毛頭ない。
これだけ壮大な物語を、破綻なく、しかも飽きさせずに構築する作者の力は大したものだ。ピンチの連続で、いったいどうやってこれが収束するのか、とハラハラするが、きちんと最後には「誰もが望むラスト」に落とすトコは並大抵の力量じゃないと思う。しかも、この作者、あえて全部語らず余韻を残す、なんてことはしない。サービス精神の塊となって、執拗なまでに物語を締めくくる。ヲタク的完ぺき主義とでも言うべきか。
もちろん、ヲタク的素養のないヒトでも十分楽しめる。上下巻分厚いハードカバーと、腕を鍛えるのにも丁度いい(僕は電子ブックリーダーソニー「LIBRIe」で読んだけど)年末年始にコタツで読んでヒマを潰すにはオススメの本。
ところで、映画化が決まっているが・・・、ホントにこれを映画化できんだろうか。
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2004 12 14 [雑文・ブックレビュー] | 固定リンク
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